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【事 案】 隣の家が設置したエアコンの室外機が発する騒音、熱風に対して賠償請求できるか?

【結 論】 受忍限度を超えているときは、損害賠償請求が認められる場合がある。(東地H15.2.17)

 エアコンの室外機は、道路や空地に向けて設置するのが近隣関係上好ましいでしょう。しかし住宅密集地や、賃貸物件などでは隣家に向けて設置されることがあります。

 本事案は、居酒屋が室外機22台と排気ダクトを、隣の住居ビルに向けて設置した。これらの機器から発生する騒音、熱風、臭気などで住居ビル側は迷惑を受けているので、機器の撤去と損害賠償を請求したものです。
 被告側居酒屋は、エアコン室外機からの熱風は夏以外はほとんど発生しない、ルーバーによって排気は上に逃げる、フィルターにより油分を排出しない仕組みになっているなどとして、受任限度を超える被害は無いと主張しました。

 この争いに対して裁判所は、臭気についてはどの程度のものか認定する的確な証拠はないとして、住居ビルの主張は認めませんでした。
 しかしエアコン室外機とダクトからの騒音は、貸しビルとしての住居ビルの収益に影響を及ぼし、受任限度を超えているとして1日につき3,000円、総額約157万円の支払を居酒屋に命じました。

 ちなみに、本事案の係争地である渋谷区商業地域の騒音規制は、常時50~60デシベルであるのに対し、居酒屋のエアコン室外機とダクトが発生する騒音は、敷地境界線上で79デシベルというかなりの騒音でした。
 騒音の程度を示すデシベル(dB)とは、昼の住宅地(40dB)、普通の会話(60dB)、地下鉄車内(80dB)、ガード下(100dB)程度とされており、79dBはかなりうるさい値ですから、損害賠償という裁判所の判断は妥当かと思われます。

 最近、隣にワンルームマンションが建設され、相談者宅に面した10室分のエアコン室外機10台と、ガス給湯器の室外機10台が設置されたという、本事案類似の相談を頂きました。
 メーカー仕様によればエアコン室外機1台の騒音は50デシベル前後ですが、10台あれば計算上60デシベル程度になります。さらに給湯器の場合、音の大きさ以外に低周波など音質が問題になる可能性があります。
 マンションは建築規制の範囲内で建築されているようなので、弊事務所は当該マンションが稼働してから、環境基準や利用上生ずる不具合を記録し、問題提起をすべくご提案しました。

当事務所がお手伝いします相手方への申し入れ、対応のアドバイス、和解書作成、行政機関への申立て、