【事 案】 総会で提出された動議を審議せずに採決した決議は有効か?  

【結 論】 動議が組合員参加の基本部分に関わるもので、一般人でも通常知り得るときは無効になることがある。(東地H29.1.27)

 マンションの定時総会で、輪番制に基づく役員候補者が総会に先だって事前に通知されていたが、それ以外の組合員が立候補するとの動議を提出した。
 提出された動議に対して、議長は同席していたマンション管理士の意見にもとづき、動議による立候補はあらかじめ通知されていないので審議できないとして動議を認めなかった。
 そこで動議を提出した組合員が、動議を取り上げずになされた決議は無効だと訴えた事案です。

 まず、総会に先だってあらかじめ通知しなければならない決議事項とは何か、が問題になります。
 この点、区分所有法37条第1条は「あらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる」としていますが、同法35条5項で「議案の要領をも通知しなければならない」事項を列挙して限定しています。
 例えば共有部分の変更、規約の変更など特別決議(4分の3以上の多数)が必要な場合には、総会に先だってあらかじめ通知することが必要です。
 それ以外の決議事項について裁判所は、「決議事項に制限をかけることは、集会における柔軟かつ迅速な決議を妨げるものであるから、あらかじめ通知すべき事項を広く解すべきではない」としました。

 本事案の動議は、「役員の改選という集会の目的の範囲内」だから適法な議案の提案である。
 そしてあらかじめ通知されていないからといって、役員の改選で「動議を決議せず、決議を行ったことは、著しく不公正が決議であり」無効だと判示しました。
 さらに、この決議を前提としてなされた次回以降の総会も、瑕疵がある不法な行為だとされましたので影響が拡大しました。

 近年、高齢化や建物の老朽化が進んでいるマンションでは、役員のなり手がいないなどの理由で管理が難しくなり外部委託が進んでいるようです。
 その際本事案では「議長の判断は専門家であるマンション管理士の助言を受けた上でのもの」としても「議長としては、マンション管理士の誤った助言をそのまま受けいれるのではなく、本件動議の重要性を十分考慮して判断すべき」と判示され、総会運営の難しさ、慎重に行うべきとの事例になると考えます。

当事務所がお手伝いしますhelpマンション規約起案、管理運営助言